ドイツの公共交通機関

ドイツの超特急ICE

 ドイツの公共交通機関を使う場合(これはヨーロッパではほぼ共通ですが)に、まず頭に入れなければならないことがあります。 改札はなく、乗り物に乗る時点で有効な乗車券を所持しているということがそれぞれ個人の責任である ということです。 人件費節約の理由から鉄道・バス・地下鉄・市電に改札というものは存在しません。

 車掌の添乗している長距離列車では、切符を持たずに乗車しても車内での購入(手数料が加算されるので駅で買うよりも高くなります)ができますが、中近距離線では必ず事前に乗車券を買わないといけません。乗車券がない状態で検札が回ってきた場合には無賃乗車とみなされ、通常料金の倍額(最低でも40ユーロ)を払わなければいけなくなります。市電・市バス・地下鉄等の都市交通でも同じです。定期的に私服の検札官がチェックしていますので、無賃乗車で捕まると一律の罰金(ミュンヘンでは40ユーロ)を要求されます。

鉄道

ドイツ鉄道 ドイツ鉄道(Deutsche Bahn ドイチェ・バーン)は1994年に東西ドイツの国鉄が合併して生まれた鉄道会社です。法人形態は株式会社ですが、すべての株式をドイツ政府が保有しているため実質上は国営企業です。2008年秋に株式上場し完全民営化に向かう予定でしたが、金融危機に伴う株価暴落のため延期となりました。

 ドイツ鉄道の事業は、遠距離交通(DB Fernverkehr)、地方交通(DB Regio)、都市交通(DB Stadtverkehr)の三分野に別れていて、それぞれ系列会社が運営しています。遠距離交通とはICEおよびICの国内の特急列車と国際特急ECのことを指し、地方交通はRE (Regional Express)、RB (Regional Bahn)などの地方線および大多数の年のS-Bahn(都市近郊線)を含み、都市交通には鉄道バスとベルリン・ハンブルクのS-Bahnが入っています。

ホームの時刻表 電車の時刻を知りたい場合には、ドイツ鉄道の英語版ホームページで時刻表を検索することができます。
→ リンクはこちら

 ドイツ鉄道は毎年6月と12月の二回ダイヤ改正を行います。6月から12月までが夏ダイヤ、12月から6月までが冬ダイヤです。ダイヤ改正時に料金の改定も行われることがよくあります。

 ドイツ鉄道の電車には次のような種類のものがあります。

インターシティエクスプレス ICE

ICE3 1991年に登場した『ドイツの新幹線』で、現在5系統のタイプが走っている。(ICE1、ICE2、ICE3、ICE T、ICT TD)このうちTとTDは振り子式。新しく建設された高速路線のほか、在来線ルートを走行するため、車両のタイプと路線によって速度が異なる。新設路線で最高時速300キロ(ICE3の場合/ICE1とICE2は280キロ)、在来線では時速160キロで走行する。

原則的に食堂車と「ビストロ」と呼ばれるバーがついている。二等車には通常ミニバーが巡回し、一等車は車掌が飲物・スナック等を座席まで持ってきてくれる。路線と時間帯によっては座席予約をしていないと座れないこともある。

電車内ワイヤレスLANマークドルトムント/デュッセルドルフ/ケルン/フランクフルト空港、フランクフルト中央駅/シュトゥットガルト/ミュンヘン、フランクフルト中央駅/ハノーバー/ハンブルク(2008年末開始)の路線を走るICEにはワイヤレスLANを搭載した車両がついているものがある。左写真のHotSpotマークがついている列車では高速走行中もインターネットの利用が可能。(有料/ドイツ鉄道のホームページだけは無料でもアクセス可能)

ICEに乗るには特別料金が必要。路線図は →こちら(PDFファイル/2009年版)

ベルリン/フランクフルト間、ハンブルク/フランクフルト間、ハンブルク/ケルン間には朝6時台(ベルリン発フランクフルト行きは夕方6時台もあり)に通勤用高速サービスのICEスプリンターが運行されており、番号が1000番台で始まるこの便には予約および追加料金(二等11ユーロ、一等16ユーロ)が必要。朝食または夕食つき。

インターシティ/オイロシティ IC/EC

 ICEの登場する前からある長距離線特急列車で、速度・料金的にもICEよりワンランク下。国内線のものをインターシティ、国境を越えて運行するものをオイロ(ユーロ)シティと呼ぶ。大都市間を最高時速200キロで結び、通常は1時間に1便運行。ICEと同じく通常食堂車がついており、ミニバーも回ってくる。座席予約可能。

IC/ECには特急料金が必要。以前は一律料金だったが現在では距離・路線需要等に応じた料金。 路線図は →こちら(PDFファイル/2009年版)

地方急行/地方鉄道 RegionalExpress/RegionalBahn

地方鉄道 長距離路線を走る上記二種類の特急列車のほか、中距離・近距離線には現在レギオナールエクスプレス(略号RE)とレギオナールバーン(略号RB)がある。REは最高時速160キロ、RBは時速120キロ。

いずれも普通列車扱いなので特急料金等は必要ないが、車内で切符を買うことはできず、必ず前もって乗車券を買って乗らないと、無賃乗車扱いになるので注意。RE/RBの座席は予約できない。基本的に一等車・二等車があるが、車両のタイプによっては二等車のみの場合もあり。

料金

 ドイツ鉄道の料金体系は、いろいろな条件つきの割引制度や、特別料金がしばしば新しく導入されるため鉄道の職員でも混乱するほど複雑であるとよく批判されます。A地点からB地点まで行くのに一番安い乗車券をみつけるのは確かに面倒です。正規料金およびBahn Card(バーンカード)と呼ばれる割引カード(以下参照)を持っている場合の割引料金については、上に紹介した時刻検索ページで電車の時間を調べると同時に料金も表示されますので便利です。

自動販売機で買った乗車券鉄道料金はほぼ毎年変わっています。ここで紹介するのはページを更新した時点での料金ですので、必ずご自分で現行料金を確認してください。

 かつてドイツ鉄道の料金はキロメーター制のものでしたが、2002年の料金改革によりICEについて区間料金制が導入され、特定の区間の距離、列車の種類、需要などを考慮に入れた区間料金が定められました。2007年6月に料金体系の変更が行われ、IC/ECにも区間料金制が適用されて、現在純粋に距離ベースの料金制をとっているのはRE/RBのみとなりました。

普通料金 Normalpreis

 普通料金は何も割引のない正規料金のことで、特定の電車指定もなく、乗車直前まで購入可能。予定が前もって正確に決められない場合は普通料金の乗車券を買うのが無難。普通料金には片道最高額が二等122ユーロ、一等195ユーロと定められており、ドイツ国内を移動する場合には乗車料金がこの金額を超えることはない。

節約料金 Sparpreis 25 & 50

ドイツ鉄道の旗 節約料金は25と50の二種類があり、いずれも乗車の3日前まで購入できる。往復券のみで、往復とも乗車券購入時に電車を指定する。違う列車に乗ると、普通料金との差額+変更料金15ユーロをとられる。同行者4人まで半額。BahnCard25も同時に使えるので、カードをもっている場合は25%ないし50%引きの価格からさらに25%割り引かれる。移動経路にICEまたはIC/ECを利用する区間が含まれていること、往復料金が最低でも38ユーロ(二等)/57ユーロ(一等)以上であることが前提。払戻は往路乗車の前日まで可能だが払戻手数料15ユーロが差し引かれる。

 Sparpreis 25は、普通料金から25%割引。

 Sparpreis 50は、普通料金から50%割引。往路と復路の間に土曜日の夜が入っているか、往復とも土日であることが条件。

座席予約

 座席の予約ができるのはICEおよびIC/EC。予約料金は、窓口で予約すると指定席一人につき4ユーロ(一等5ユーロ)、自動販売機で乗車券購入時に予約すると指定席一人2ユーロ(一等3ユーロ)。

目的地の市内交通 City mobil

 列車の乗車券購入時に、目的地での市内交通(地下鉄・バス・市電等)に使える乗車券(1回限りまたは一日乗車券)を合わせて購入することができる。大都市のほとんどが参加している。現地に着いてから地下鉄などの切符を買う必要がなくなるので便利。ただし、都市によってCity mobilの有効な範囲が違うので注意。また一日乗車券(Tageskarte)タイプしかない都市もある。通常は列車の乗車券にCity mobilと印刷される形で、別のチケットは発行されない。

子供料金

  • 5歳までの子供は常に無料。乗車券も必要なし。
  • 6歳から14歳までの子供は両親または祖父母の一人が同伴している場合無料。大人の乗車券に同伴する子供の人数を購入時に記入してもらう。(RE/RBではその必要なし)

バーンカード BahnCard

 ドイツに長期滞在するのであれば、バーンカードを買うのがお得。一年間有効で、割引率と一等・二等の別によりいくつかの種類がある。写真入りのカードで自分だけしか使えない。乗車券購入時および乗車時にカード必携。

二等車用バーンカード25BahnCard 25

乗車券が25%割引になる。上記Sparpreisとの併用可能。
二等車用と一等車用がある。二等車用のバーンカードは一等車にはまったく通用しないので、二等車用バーンカードしか持っていないのに一等車に乗ると、一等車の正規料金全額を払わなくてはならない。左の写真は二等車用のもの。一等車用は左手のBahnCardの文字の下にFirstという文字が入る。

二等車用バーンカード50BahnCard 50

乗車券が半額になる。Sparpreisとは併用できない。
二等車用と一等車用の区別はバーンカード25と同じ。一等車用を持っていればもちろん二等車の利用も可能。

二等車用バーンカード100BahnCard 100

ごく一部の特別列車を除き、ドイツ鉄道全国乗り放題。City mobilも含まれているので各都市の公共交通機関もそのまま使える。

 

バーンカード価格一覧(2008年11月現在)
  BahnCard 25 BahnCard 50 BahnCard 100
一等 110 € 440 € 5,900 €
二等 55 € 220 € 3,500 €

ハッピーウィークエンドチケット Schönes-Wochenende-Ticket

 週末(土日)にICE/IC/ECなどの特急に乗らずに近くを移動するのであれば、ウィークエンドチケットが利用できる。土曜日か日曜日の午前0時から次の日の午前3時まで有効で、一枚で5人まで乗り放題。前記特急列車および一等車の利用は不可。オンライン又は自動販売機で買うと35ユーロ、窓口では37ユーロ。座席の予約もできない。多数の都市で地下鉄・バス・市電なども利用できるが、例外もあるので確認要。

レンダーチケット Länder-Ticket

 レンダーというのはドイツ国内各州のこと。各州の域内のみ有効な乗り放題チケットがある。ウィークエンドチケットとは逆に、終日の月曜から金曜まで使える一日乗り放題券。朝の通勤時間帯は使えない。朝9時から次の日の午前3時まで有効。5人まで乗れるチケットが普通だが、一人用のシングルチケットを少し安く売っている州もある。小さな州(都市が州となっている場合など)は近隣州と共通のチケットを発行している。

レンダーチケット一覧(2008年11月現在)
チケット名 シングル グループ
バーデン・ヴュルテンベルクチケット なし 29 €
バイエルンチケット 21 € 29 €
ブランデンブルク・ベルリンチケット なし 28 €
ヘッセンチケット なし 30 €
メックレンブルク・フォアポンメルンチケット なし 27 €
ブレーメン・ニーダーザクセンチケット 21 € 29 €
ナイスデイチケットNRW
(ノルトライン・ヴェストファーレン)
25,5 € 35 €
ラインランド・プファルツチケット なし 29 €
ザールラントチケット なし 29 €
ザクセンチケット なし 29 €
ザクセンアンハルトチケット なし 29 €
チューリンゲンチケット なし 29 €

シュレスヴィッヒ・ホルシュタインチケット
(ハンブルクも有効)

なし 31 €

 ドイツの州区分地図は →こちら

 表の価格はすべて窓口価格。オンラインまたは自動販売機で購入すると2ユーロ安くなる。(ラインランド・プファルツチケットとザールラントチケットは3ユーロ) 色のついているチケットは有効な区域が共通。購入する場所によってチケットの名称は違うが、乗り放題の範囲は同じ。

 バイエルンとブランデンブルク・ベルリンチケットには午後6時から翌日の朝6時(週末・休日は朝7時)まで5人有効なナイトチケットもある。(バイエルンチケットナイトは21ユーロ、ブランデンブルク・ベルリンチケットナイトは21ユーロ)

切符の購入方法

乗車券自動販売機 ドイツ鉄道の乗車券を買う方法は、窓口、自動販売機、オンラインの三種類あります。窓口よりも予約料金やウィークエンドチケット、レンダーチケットなどは、自動販売機またはオンラインで購入した方が少し安くなっています。

 ドイツ鉄道のホームページに登録すると、クレジットカードを使って乗車券を購入することができます。購入した乗車券は自分のパソコンで印刷しますが、この乗車券は購入者の名義となっており、人に譲渡することはできません。検札時に支払いに使ったクレジットカード(または登録したバーンカード)の提示が必要です。詳しくは →こちら(英語)

 自動販売機は使い方がわかっていれば急いでいるときに便利ですが、タッチスクリーンでたくさんのオプションを選択していってようやく支払い・発券にたどりつくので、初めての時は戸惑うと思います。また駅にある自動販売機には二種類あって、ドイツ鉄道のすべての乗車券の買えるものと、その周辺地区の近距離区間のみしか買えないものがあります。一般に新しいタイプの大きなタッチスクリーンディスプレイがついている自動販売機であれば、遠距離区間も買えます。メニューはすべてドイツ語になっていますので、ドイツ語が苦手な方はまず画面の下にある国旗のマークをタッチして英語を選択してください。

   
 

ドイツ語通訳 ドイツ語翻訳 ドイツ国家検定通訳・翻訳士 井上英巳 Seit 29.6.01