旅の心得

ミュンヘンの新市庁舎

 ドイツの旅は人それぞれにさまざまな楽しみ方があります。一言でドイツといっても北のハンブルクと南のミュンヘンではまったく世界が違いますし、何に関心をもって旅をするかによってその印象も変わってきます。
 せっかくの旅行が「恥のかきすて」の連続とならないように、最低限のエチケットは心得ておきましょう。

エチケット

  • 扉でのマナー
    ドイツ(および西欧諸国)では扉を空けて通った後、かならず振り返って後ろから来る人がいれば扉を押さえておいてあげて、次の人に扉を『引き継いで』から離れるのがマナーです。もし、うっかりして後から来る人の鼻先で扉が閉まってしまったようなときは『ごめんなさい』とあやまります。 日本の特に男性は誰かが扉を開けてまっていてくれると、『ありがとう』といって扉を押さえさせたまま通りすぎていく方が多いのですが、これは実に失礼なことです。相手をドアマンとして使っているようなものです。前の人が押さえて待っていてくれたら、お礼を言いながら扉を引き継ぎ、また次の人に渡すというのが実に普通のことですのでご注意ください。
  • 食卓でのマナー
    スープなど汁物の場合すすって音を立てないというのは当然ですが、もうひとつ日本の方が知らずに違反してしまうマナーがあります。それは同じテーブルに座っている人全員に食事がでるまでは先に自分だけ手をつけないということです。特に目上の人の注文したものがまだでていないのに、勝手に食べ始めるのは非常に失礼です。全員に出揃ったところで、お互いに『食事を楽しんでください Guten Appetit!』と言い合って一緒に食べ始めます。 もうひとつこれも当然ですが、食事中のタバコは特に相手がまだ食べている間は厳禁で、食事が終わってから『タバコをすってもいいですか』と確認して吸います。(現在レストランはほとんどが禁煙ですのでご注意ください)
  • 握手をするとき
    人と会ったとき、特に初対面のときは握手をするのが習慣です。相手が手を出そうとしているのに、こちらからも手を出さないと失礼にあたります。また、相手が数人いる場合は、まず女性から、そしてあとは『偉い順』に握手をするのが礼儀です。また、自分たちがグループの場合はやはり、グループの責任者から相手方と一人ずつ握手をして(初対面のときには、握手をしながら自分の名前を言って自己紹介します。)ゆき、それに続いてほかのメンバーも握手をします。日本の名刺交換と同じような儀式と思ってください。
  • チップ
    ドイツでは、ホテルでもレストランでも、タクシーでも料金にすべて含まれていますので、絶対にチップを渡さなければいけないということではありません。ただ、伝統的にサービスを受けた場合には、気持ちとしてチップを渡すのが普通です。レストランやタクシーでチップをあげるときは、請求された代金の端数を切り上げて払うというのが一番スマートですが、そのとき端数が10プフェニヒだけだったり、非常識に小額であると返って失礼になります。そういう場合は、1マルクとか2マルクとか支払額に応じて上乗せしましょう。タクシー代が45マルク90プフェニヒだったら、46マルクではなくて一気に50マルクにしてあげるよう な感覚が良いと思います。チップを少し多めにあげるとそれまで無愛想だった運転手が一転して重い荷物を持ってくれたりします。

レストランやカフェでの心得

レストラン

に入る時は、人数を聞かれて席に案内してくれる場合と勝手に席を選べる場合がありますが、まずとにかく席につきます。混んでいるときなど大きなテーブルにいくつか席が空いている場合は、座っている人に確認してから相席することもあります。(特にビアホールなど)

 席につくとウェイターまたはウェイトレスがまず、飲み物の注文を取りに来ます。メニューの研究に入る前にまず飲み物を注文します。特に夏喉が渇いていて生ビールをすぐにほしいときは、泡の量を調節してグラスにつぐのに数分はかかるので、必ず座ったら即座に『ビール!』と叫びましょう。ミネラルウォーターはレストランでは基本的に炭酸入りですので気をつけてください。多くのドイツのレストランには『ノンガス』のミネラルウォーターはおいてありません。ウェイターが『ノンガス』といってもドイツ人にとってのノンガスで、実はいくらか炭酸が入っているものがでてくることもあります。そういう場合はあきらめて飲んでください。

 飲み物が来るまでに食べるものを決めて注文するのが理想的なパターンですが、メニューの解読に時間がかかってしまうのは仕方がないので、そのうちまたテーブル担当のウェイターが回ってくるのを 気 長 に待ちます。ただ、ここで担当の給仕さんの顔を良く覚えておいてください。注文、サービス、清算までテーブルごとに担当が決まっているので、隣のテーブルにきたウェイターに何かを言っても担当でなければ相手にしてもらえません。

 メニューの内容はさまざまですが、大体の場合印刷したしっかりとしたメニューに『今日のメニュー』というのがコピーで挟まってきます。前菜・スープ、メインディッシュ、デザートと区分けして書いてあるのが普通です。必ずしもコースで取る必要はありませんので、前菜一品でも構いません。ここでひとつ気をつけたいのはスープについて、『無音』でスープを『食べる』自信が無い場合は、特に相席であったりドイツ人のお客さんとの会食では『汁もの』はお勧めしません。食事の際に音を立てることは酷くきらわれます。レストランに犬を連れてくるのも、人前で鼻をかむのも許されますが、『ずるずる』だけはドイツ人の目に実に下品に映ります。

 ドイツでも最近禁煙法が制定しされて、ほとんどのレストランは禁煙です。しかし、禁煙法は州によって異なりますので、たばこを吸っても良いかどうかは必ず確認してください。もしたばこを吸うことのできるレストランでも、タバコを吸う前に同席の人たちに了承を得るというのがエチケットで、特に他の人がまだ食事中のタバコはあまりよくありません。

 食事が終わって支払いはそれまで給仕をしてくれたウェイターに直接テーブルで行います。最後に注文したものを持ってきてくれたときに『お勘定!』("Rechnung bitte"/レッヒヌング・ビッテ!または"Zahlen!"/ツァーレン!)というのがベストタイミングです。

 チップ・税金はドイツではすでに価格に含まれています。しかし、エチケットとして『端数を切り上げる』形でチップをあげるというのが普通です。2ユーロ70セントのコーヒー一杯だったら、3ユーロにしてあげるし、食事して29ユーロだったら30ユーロあげるといった具合です。ただ全体の額に対してあまりに切り上げる額が小さいと、それはかえって失礼になることもあります。また、サービスが悪かった場合、お金が無い場合は無理してチップを乗せる必要はありません。こちらがなにもいわなければ正確におつりを返してくれます。(!おつりはその場でしっかり数えましょう!)

 かっこよく「気前よさ」を示したい人は、チップを含めたお金を用意して "Stimmt!" (シュティムト!)と言いながら渡しましょう。「この金額でいいですよ」という意味になります。但し、ここで「ダンケ」というのも同じ意味になりますので、おつりをしっかりもらいたい場合は、支払でお金を出すときに「ダンケ」は禁物です。ダンケというのはおつりが帰ってきてからにしましょう。

カフェ

に入るのも基本的にはレストランと変わりません。カフェの多くはケーキ屋さんの奥になっていて、入り口のケーキ売り場で食べたいケーキを選んで、『テーブルで(am Tisch/アムティッシュ)』と言うと、番号入りのチケットをくれます。席に座って飲み物を注文するときにウェイトレスさんにそのチケットを渡せば選んだケーキを持ってきてくれます。清算は飲み物とケーキあわせてテーブルで行います。だいたいのケーキには生クリームを乗せてもらうことができます。ドイツの生クリームは砂糖が入っていないので、甘いケーキの味を引き立ててくれます。生クリームつきにしてもらうときは『ミットザーネ(Mit Sahne)』と言いましょう。

   
 

ドイツ語通訳 ドイツ語翻訳 ドイツ国家検定通訳・翻訳士 井上英巳 Seit 29.6.01