| arm durch Arbeit |
日本で問題となっている「ワーキングプア」に近いニュアンスだが、ドイツでは税や社会保険料の負担増が中流階級を直撃しており、「働けば働くほど貧しくなる」状況が深刻化しつつある。 |
| Migrationshintergrund |
Personen mit Migrationshintergrund
Menschen mit Migrationehintergrund
のような形で2006年頃から一般的にも使われるようになった。
Migrationは外国人がドイツに定住することを意味し、日本語に直せば「定住外国人」ということになるが、「外国人(Ausländer)」という言葉をドイツで使うとすぐに「反外国人的」「国粋主義」しいては「ネオナチ」とまで批判されることが多いため、政治家がドイツに定住する外国人に関する問題を扱う際に使うようになった湾曲表現。また、「定住という背景を有する者」と表現することによって、ドイツに移住・定住した者自身のみでなく、その子供、孫、つまり第2世代、第3世代をも含むことになる。ドイツでは高度成長期にドイツに労働者として移住してきた外国人の子供や孫について、一般的に教育水準が低く、犯罪率なども高いことが問題となっている。
この言葉自体はドイツの人口統計で以前から使用されてきた術語。 |
| hoyzern |
2005年にドイツサッカー界を揺るがした賭博スキャンダルの主役となったいかさま審判の名前Hoyzerが動詞となったもの。意味は「ごまかす」「いかさまをする」。
ホイツァーという名前自体も今や一般名詞化しており、サッカーの審判を罵倒する野次の決まり文句になっている。 |
| gefühlte Armut |
『体感貧困』
貧困の尺度をどこにとるかは難しい問題だが、ドイツのように豊かな国では本人が主観的に感じる貧困というものが問題になる。 |
Parallelgesellschaften
(2004年秋) |
『並行社会』『並存社会』『多重社会』
アルカイダ・イラクのテロが続くなかで、イスラム教徒全般に対する不信感が強まっている。ドイツに住みながらもドイツ語も十分に話すことができず、社会に同化する努力をしないで国籍・宗教の同じ者だけが集まったコミュニティが、ドイツ人社会と並行して存在するようになっている。「ドイツに住むからにはドイツ語を話し、ドイツ社会に同化する態度を要求する」という考え方が広がりつつあり、その中で問題視されるようになったのがこの『並存社会』という概念。通常複数形で使用され、同じ領域にいくつもの相容れない社会が並行して存在することを指す。 |
| googeln |
『グーグルする』『ググる』
インターネット検索エンジンGOOGLEで検索すること。googleという名詞から派生したドイツ語動詞化 過去形はgoogelte、過去分詞gegoogelt |
Reformstreit
(2003年) |
『改革論争』
経済が停滞し、深刻な失業問題と社会保障制度の破綻に直面しているドイツには大胆な構造改革が必要であるという点においては与野党の見解は一致しているものの、その改革の内容については大きく意見が分かれています。2003年は改革を巡る与野党間の論争が続いた年でした。 |
Agenda 2010
(2003年) |
2003年3月にシュレーダー首相が発表した構造改革案「アゲンダ2010」 はドイツの将来を決める重要な政策としてドイツ中で大きな議論を呼びました。2003年12月中旬まで論争はもつれこみ、年内ぎりぎりのところで与野党間の合意が成立、2004年からの改革が決定されました。 |
das alte Europa
(2003年) |
『古いヨーロッパ』『旧欧地区』
イラク戦争に反対するドイツとフランスを指してアメリカのラムズフェルト防衛長官が使ったこの言葉は、アメリカの言うことをきくポーランドやスペインを「新しいヨーロッパ」と呼び、「古いヨーロッパはヨーロッパのごく一部にすぎない」といったもので、ドイツ・フランスの大きな反発を呼びました。しかし、この言葉はアメリカに対してもはっきりと自分の意見をいうことのできる「自立したヨーロッパ」を象徴するものでもあります。2003年の「今年の言葉」に選ばれました。 |
Ich-AG
(2002年) |
『私㈱』もしくは『自分㈱』
失業問題が深刻なドイツでは、失業者の自立を目指して起業家の助成を行っていますが、『自分一人で会社を作る』という意味でできた新語です。もちろん一人で作る会社は通常株式会社ではありませんが、ドイツ語で株式会社の略号であるAGは、一般には『会社』という語感で使われるためこういう表現になりました。 |
Kakophonie
(2002年秋) |
『不協和音』
聞くに堪えないひどい音という意味のこの学術用語は、一般にはほとんど知られていませんでしたが、シュレーダー首相が、緑の党と社民党の連合政権内で今後の政策を巡って矛盾した発現が相次いだことに業を煮やして『耐え難い不協和音 unerträgliche Kakophonie』と発言し、一気に一般化しました。 |
Jahrtausendflut
(2002年8月9月) |
『千年紀の洪水』
2002年夏バイエルン東部のドナウ川地域に始まり、その後チェコからザクセンに渡るエルベ川地区での大洪水は、そまれでよく大規模な自然災害を指す言葉として使われていた『世紀の・・』(つまり100年に一度の)という表現では表しきれないものとなり、1000年に一度の洪水という意味のこの言葉が生み出されました。 |
PISA-Schock
(2002年夏) |
『ピザショック』
OECDの行う国際学力調査PISA(Programme for International Student Assessment)の結果、ドイツの児童生徒の学力が国際比較で下位に留まったことから、ドイツの教育制度の危機が叫ばれるようになりました。これまで教育制度に誇りを持っていたドイツだけにそのショックは大きく、『ピザ』というのが学校現場および政界でのキーワードになりました。 |
gefühlte Teuerung
(2002年春) |
『体感物価上昇』
体感温度 gefühlte Temparatur という言葉がありますが、ユーロの導入に伴う物価上昇の消費者の体感率を指す言葉です。
ユーロ現金導入後の公式統計にはユーロ導入が原因とみられるような物価の上昇はまったく数字として現れていないのに、一般の消費者は『高くなった』と感じていることのギャップから生まれた表現です。統計局のまとめる物価上昇率には日常それほど頻繁に買うことのないアイテムやユーロにそのまま換算された家賃なども含まれており、日用品や食料品、飲食店など普段お金を使うところでは比較的多くの便乗値上げがあったことが、このような現象の原因となりました。 |
antisemitische Tendenzen
(2002年5月) |
『反ユダヤ的傾向』
Antisemitismusというとナチス時代の『ユダヤ人差別』に直接繋がってしまいあまりに強い言葉になってしまうので、現在は反ユダヤ的な思想・文学作品などについて『これには反ユダヤ的傾向がある』という言い方をします。
この表現が急に大きくクローズアップされることになったのは、2002年5月に、秋の連邦議会選挙で18パーセントの得票率を目標に掲げる(これまでは常に一桁台)ドイツ自由民主党(FDP)の副党首でありノルトライン・ヴェストファーレン州議会の党派会長でもあるメレマン氏が元緑の党員でイスラエルをナチスと比較する発言をしているアラブ系議員カースリ氏を党派に加えさらには党員としての加盟を許したことがきっかけとなりました。これにドイツのユダヤ人団体であるドイツユダヤ人中央会議は強行に批判、とくにタレントでもある副議長のフリードマン氏がメレマン氏を激しく非難し、これに対して腹を立てたメレマン氏は「反ユダヤ感情が高まるのはフリードマンのような傲慢なユダヤ人のいるせいだ」と発言、これが決定的なタブーに抵触して、ドイツ内外を巻き込んだ大論争となりました。
事態を収拾しようとするFDP党首ヴェスターヴェレ氏が期限を切ってカースリ氏の党派からの追放と謝罪を要求した後、メレマンはノルトライン・ヴェストファーレン州議会で謝罪しましたが、「この謝罪はユダヤ教を信じる人々に対するものでフリードマンは除外する」と明言、さらには党内でメレマンを批判した長老幹部について「功績がある人物でも今の党にはまったく役にたたず、横槍を入れるばかりの御仁にはもう引退してらいたい」と発言、今度は党内の混乱を巻き起こしています。
今回のメレマン氏の「反ユダヤ的傾向」が問題なのはドイツ人がユダヤ人を批判したからではなく、最近のパレスチナでのイスラエル軍侵攻で一般に反ユダヤ的感情がくすぶっている最中に、右よりの票を獲得するために打算的に行われたパフォーマンスであるからです。18%選挙戦プログラムの生みの親でもあるメレマン氏は目標達成のためには手段を選ばず、フランスやオランダでも極右政党が高い得票を得ていることを睨んで中道だけでなく右の有権者もつかもうとしているのです。
FDPのあまりの節操のなさに、巷ではメレマンが18という数字を選んだのは、アルファベットの1番目と8番目の文字がAとHで、アドルフ・ヒットラーの頭文字であるからに違いないという解釈まで飛び出しています。 |
| smsen または simsen |
『SMSを送る』
ドイツの携帯電話の文字メッセージサービスはSMS(ショート・メッセージ・サービス)といい160文字までを送信できますが、そのSMSを送るという意味の新しい動詞です。smsen - smste - gesmstと活用します。発音は『ズィムセン』です。ドイツの若者たちには『SMS中毒』も発生、毎日数百のSMSを送信して料金を払いきれずに負債をかかえこむ未成年者が増加しています。
用法はjm. et. smsen, mit jm. smsen, jm. smsen
ちなみに名詞SMSの性は女性で、複数形にはSMSenという形もみかけます。 |
Riester-Rente
(2001年以降) |
『リースター年金』
連邦労働・社会大臣リースター氏が導入した民間年金貯蓄助成制度を一般にはリースター年金と呼んでいます。既に経済的に破綻状態にある法定年金制度を救うための新たな制度として一昨年から議論され、2001年には法の整備も行われて2002年初頭から実施されています。 |
Teuro
(2002年1月) |
『ユーロ便乗値上』とでも意訳しましょうか。
1月1日から現金が流通するようになった新通貨ユーロですが、通貨単位が変わることを利用して様々な製品・サービスの価格を便乗値上げしたケースも多く、ドイツ語で『高価な』といういみの形容詞である teuer という言葉とユーロを掛け合わせて作った新しい合成語です。 |
uneingeschränkte Solidarität
(2001年9月) |
『制約のなき連帯』
これはシュレーダー首相がアメリカの多発テロの発生後、ドイツのアメリカへの支援体制を強調する意図で使った言葉です。『制約なき』つまり『無条件』でアメリカへの強力を約束するもので、平和主義者たちとの間で軍事協力を巡っての論争でこの言葉がキーワードとなりました。緑の党はこれに対し kritische Solidarität 『批判的連帯』という言葉を使って、アメリカの要求を無条件に受け入れるのではなく、すべてを自らの価値観に従って批判的に検討すべきと主張しています。 |
K-Frage
(2001年10月) |
Kandidatenfrage 『候補問題』または Kanzlerkandidatenfrage『首相候補問題』
現在連邦議会で野党となっているキリスト教民主同盟・キリスト教社会同盟の姉妹政党グループは2002年9月に行われる連邦議会選挙の際に擁立する次期首相候補がまだ決まっていません。キリスト教民主同盟党首のアンゲラ・メルケル女史と現在バイエルン州総理大臣であるキリスト教社会同盟の党首エドムント・シュトイバーとの間で駆け引きが続いています。コール後の同盟は党内での統率がとれずに醜態をさらしており、その最たるものがこの『K問題』とされています。また、11月にシュレーダー首相がアフガン後方支援の決議の際、与党内の一致した賛成を確保するため同時に自らに対する信任を議会に請求したことについて、『V問題』=Vertrauensfrage という言葉が一部マスコミで使われました。 |
(Und) das ist auch gut so!
(2001年7月) |
州銀行スキャンダルからCDUとの連合政権が崩壊したベルリンで新しい市長となったヴォーヴェライト(SPD)が州議会での市長選挙に臨む前にベルリン市州党大会で『私はゲイだが、それでいいんだ。』(Ich bin schwul, und das ist auch gut so!)とカミングアウトしたことから、それまで無名だった彼は一躍ドイツの時の人になった。それ以来『それでいいんだ』がいろいろな場面で使われるようになった。 |
Ich habe fertig!
(1998年3月) |
バイエルンミュンヘンの元監督ジョヴァンニ・トラパトーニが、連敗が続く中あまりに内容の悪い試合終了後におこなった記者会見(史上最短の記者会見で3分間)はイタリア人監督のドイツ語での選手たちのていたらくに対する怒りの爆発で伝説的なものとなっています。めちゃくちゃなドイツ語で3分間叫び続けた後最後にいったのがこのIch habe fertig!でした。監督はこれで言いたいことはいったので記者会見は終わりだと言う意味で使ったのですが、ドイツ語の文法としては間違ったこの表現が、Ich habe genug!またはIch habe es satt!(『もうたくさんだ!』『もうこりごりだ』)という言い回しと、Ich bin fertig!(『終わった!』が普通の意味ですが『私はもう疲れきった』という意味にもなります)という表現の結合した形としてドイツ人の耳に響き、こういったすべての意味があまりにあてはまる状況だっただけに流行語となりました。 |
Ich liebe doch alle!
(1989年11月13日) |
東ドイツの旧体制崩壊後、移行議会で国家保安部(Stasi)の最高責任者であったエリッヒ・ミールケErich Mielkeが行った最後の演説の中で、議場からの野次に対し言い返したのがこのセリフでした。『私だってみんなのことを愛しているんだ!』という意味ですが、東独政権の国民抑圧基幹として国民の大多数をスパイにより監視させていた機関の責任者の発言だけに会場の冷笑を誘いました。 |