社会保障制度

ドイツ国旗

 社会保障制度とは社会全般の連帯の原則(Solidaritätsprinzip)に基づく連帯共同体(Solidargemeinschaft)を構成する法定義務保険の総体を指します。

 社会保険の法的根拠となるのは社会法典(Sozialgesetzbuch)です。

 ドイツでは同業組合の相互扶助(特に鉱山業がその始まり)から発展した社会保障制度が非常に早い時期に導入されています。

  • 医療保険(Krankenversicherung)1883年
  • 傷害保険(Unfallversichrung)1884年
  • 身体障害者および老齢保険(Invaliden- und Altersversicherung)1889年
  • 失業保険(Arbeitslosenversicherung)1927年

 これら社会保険は労働、職務、訓練を行っている者、またしばしばその親族者を対象とするものです。恩給制度(Versorgung)のある官吏(Beamte)扱いの公務員および自営業者は原則的にその対象となりません。 農家等経済的危険性の高い自営業者は社会保険の対象となります。

社会保障の五つの柱

 ドイツの社会保障制度は以前は4本の柱により支えられていると言われましたが、1995年に介護保険が導入され、現在では5本の柱があります。

種別 ドイツ語名称 日本との対応
法定医療保険 Gesetzliche Krankenversicherung 公的医療保険
 

社会法典第5巻により規定
保険義務があるのは報酬を受けて労働に従事する被雇用者(公務員の一部を除く)でその所得が保険義務限度額(2008年は月額4012.50ユーロ/Versicherungspflichtgrenze)を超えない者。職業訓練生、学生、年金受給者、職業促進対策に参加している失業者および身体障害者も保険義務がある。
農業事業者および農業に従事するその親族には農家医療保険(Krankenversichrung der Landwirte)がある。
芸術家およびジャーナリストには自営芸術家およびジャーナリストのための芸術家社会保険(Künstlersozialverischerung für selbständige Künster und Publizisten)がある。

法定傷害保険 Gesetzliche Unfallversicherung 労災保険
 

社会法典第7巻により規定
職業による事故および職業病に対する保険
保険義務があるのは職務・労働・訓練関係により従業している者すべて、農業経営者、医療・獣医療従事者、福祉事業従事者、学生、児童、幼稚園内の幼児など。

法定年金保険 Gesetzliche Rentenversicherung 公的年金
 

社会法典第6巻により規定
保険義務があるのは公務員の一部を除く被雇用者、職業訓練生、兵役および 民間役務(Zivildienst)服務者、認定作業所の身体障害者など。
農業経営者は農家老齢保障(Alterssicherung der Landwirte)による保険義務がある。
親族等の介護を行う介護者も介護保険を通じて保険義務範囲内となる。
法定年金保険は、ドイツ年金制度の三つの柱のうち、第一の柱と呼ばれ、企業年金などが第二の柱である。

法定介護保険 Gesetzliche Pflegeversicherung 介護保険
 

1995年4月1日導入
社会法典第11巻により規定
保険義務があるのは法定医療保険の加盟者全員。民間医療保険の加盟者は民間もしくは法定介護保険を選択できる。
介護保険導入の際、その財源確保のため休日が一日(懺悔と祈りの日・ザクセン州は例外)返上された。
現金支給と現物(というよりはサービス)支給があり、自宅で(プロの介護スタッフによる)介護サービスの支給を受ける場合、ホームに入所して介護を受ける必要のある場合、自宅介護で近親者等のプロでない者が介護にあたる場合で、それぞれの介護等級についての一月の給付限度額が定められている。

失業保険 Arbeitslosenversicherung 雇用保険
 

社会法典第3巻により規定
保険義務があるのは報酬を受け従業する被雇用者および職業訓練中の被雇用者(自宅労働者も含む)

   
 

ドイツ語通訳 ドイツ語翻訳 ドイツ国家検定通訳・翻訳士 井上英巳 Seit 29.6.01